顎関節症について
顎関節・顎関節症とは?
上アゴと下アゴをつないでいる関節を顎関節といい、両耳の前約1㎝のところにあります。口を開けたり閉じたりすると動くので触っても分かりやすいと思います。
こういった症状はありますか
- 開閉口時に毎回引っ掛かりカクッ、コキッ、ジャリッと雑音がする。
- 口を開いたり閉じたりすると痛い。
- 口が開きづらいことがある。
顎関節症の症状としては上記の三主症状で、どれか一つでも当てはまれば、顎関節症と診断されます。それらの症状が起きる過程において、関節を支える靭帯が伸びたり、咀嚼筋または周囲の頭部、頸部、肩の筋肉までまきこんで過度の緊張を起こしていたり、骨が変形したり、関節の中にある軟骨様組織がズレたり、穴が開いたり・・・と様々な反応をしています。毎日動かしているアゴですからスポーツ選手の膝、腰、肩、ひじと同様にリスクを伴います。
近年、現代人の小顔化や、また長時間のスマホ使用によるスマホ猫背、ストレートネックの常態化により、顎関節症は増加傾向にあり、二人に一人が経験すると言われています。 それ自体、直接命に関わるような疾患ではありませんが、慢性的に悪化すると、普段の食べる、話すといった日常生活に支障をきたすようになってしまいます。
顎関節の特殊性
顎関節は全身の中で唯一①回転以外に滑走運動できる関節であり、他の関節より動きが大きい。②左右の関節が骨(アゴ)を介して一つにつながっている複関節であり、さらにそこには歯が沢山存在し上下で咀嚼運動をしている。 動きが大きいため、骨と骨の間にある“関節円板”という軟骨のような組織がずれやすく病態を悪化させやすくしています。 咀嚼であごにかかる力は女性でも100㎏以上と言われます。顎関節はその独特な構造から歯並びや噛み合わせ、噛む力の影響も多分に受けます。急激に、または慢性的に過剰な力がかかったり、三次元的に偏ったメカニカルストレスがかかれば、顎関節に間違いなく悪影響を及ぼします。
下記が当てはまる方は
顎関節症の可能性があります
- うつ伏せ寝、うつ伏せ読書
- 歯ぎしり、くいしばりの癖
- 吹奏楽などの楽器演奏
- 頬杖
- 仕事などでの長時間の一定姿勢
- 食いしばりが必要な
コンタクトスポーツ - 急なアゴの動きを要するような発声
- 歯の矯正治療をしている
ほとんどの場合、本人が無意識に行っているため気づきにくく、また本人の自覚症状と実際の病態が一致しないのも顎関節症の特徴です。
アゴの不調和があることに気づかずに噛み合わせに直接関係するような被せ物の治療をした場合、さらに悪化させる原因になりかねない上、あとからやり直すのは時間もお金も労力もかかります。
当院では初診時に顎関節の診査を行うことを義務づけています。
顎関節症の治療
治療方法
基本的には取り外しできるマウスピースを用い、可能な限りアゴ(歯)や顎関節周囲(靭帯、筋、骨、軟骨様組織)に過剰にかかった力を解放し、本来の状態と本来の位置に戻してあげるように促します。 必要に応じ関節内を細い注射で洗浄することもあります。 これらの治療により、症状が改善すると、噛み合わせが微妙に以前の位置から変わることがあります。その位置で慣れるか、噛めるように矯正治療や被せ物などで全体的な歯の治療を必要とされる場合もあります。または術者側でその方のアゴにあった新たな嚙み合わせを再構築していく、いずれにしても長期間に渡り、全体的な歯の治療をしなければならないこともあります。 一方で、骨変形まで起こしているような方の場合は、大学病院や、総合病院で局所的に手術的対応を余儀なくされる場合もあります。